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タイトル シベリア出兵
著者 麻田雅文
出版社  中公新書
読了日 2016年11月10日

第一次世界大戦の末期から太平洋戦争につながる時期に起きたシベリア出兵について考察している。著者曰く,新書でシベリア出兵に関しての本は今までなかったらしい。

私はシベリア出兵とは,ロシア革命の日本への波及を防止するためにシベリアに出兵したのだと思っていたが,実際はそんな理由ではなかったみたい。

シベリア出兵はイギリス,フランス,アメリカなどの欧米諸国も行なっており,ロシア革命の影響が自国に波及するのを防ぐのなら,シベリアではなく欧州側に出兵する方がヨーリッパの国からしたら合理的である。実際は,ロシア革命によってロシア国内が混乱してしまったため,第一次世界大戦を継続することができなくなっているソ連が,ドイツと和解してしまう。英仏は革命政府を倒してロシア帝国を再興し,ドイツとの戦争(東部戦線)を再構築してもらうことを狙っていた。

そうなると,日本がシベリアに出兵する意味はほとんどない。実際に,軍人も含めて当時の指導者たちは出兵に反対の立場が多かった。ではなぜ,出兵することになったのか?そして,他国が撤兵した後も撤兵せずに7年も戦争をしなければならなかったのか?本書はその辺を考察している。

出兵の時は,声の大きい人が周りを押し切って行く。そして,緒戦の快進撃で既成事実を作って行く。この人たちは,撤兵のことなど考慮していない。敵の反撃が始まると,現在の兵力では持ちこたえられないという理由などで,小出しに戦力を追加して行く。これにより,規模が大きくなるが,増兵が小出しなので効果はほとんどない。

撤兵に関しては,出兵を推進した人たちが責任を取ることを避けるために,成果がないままの撤兵を嫌がる。その人たちを説得することができずに,ズルズルとした戦線が続く。。。

これって,満州事変から太平洋戦争に至る道筋と同じですね。現在のアベノミクスと黒田日銀総裁の緩和策にも似てる気がする。異次元緩和の出口戦略をちゃんと考えないといけないってことかもしれません。

事業の撤退時期を見誤って大きな損失を出す大会社のニュースもよく出てきますが,撤退するということはとても難しいことなのかもしれません。

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