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パスワードは使い回しができたり,なりすましができる可能性があったりするので,すでにオワコンだと言われて久しいです。パスワードの代替え手段として,スマートカードによるに要素認証や生体認証が提案されてきて,iPhoneは指紋や顔認証でのロック解除,WindowsはWindows Helloによる顔認証が実用化されてきています。
iPhoneの顔認証であるFaceIDは双子の兄弟で認証が通ったと言ったニュースもありますが,概ね問題なく運用されているようです。

生体認証はデジタルの世界のイチゼロではなく,確率でOK/NGを判断しています。生体情報を受け取ったら,本人である確率を計算して,本人らしいと判断したらOKで,本人らしくないと判断したらNGになります。本人らしさをどのくらいで判断するかの閾値によって,他人を本人として受け入れてしまうか,本人を他人として却下してしまうかが決まります。この閾値を低くすると,他人を受け入れてしまうシステムになるし,閾値を高くすると,本人を拒否してしまうシステムになるので,閾値の決定は難しいです。

米国で顔認証システムの本人拒否多発により,失業手当をもらえない失業者が出ているとニュースになっています。失業手当の申請に,顔認証システムが利用されているのですが,このシステムが失業手当の申請を拒否しているのが原因のようです。
米国は進んでいて,[ID.me]という顔認証システムが複数の州の失業手当の申請に導入されています。そこで140万人の失業手当受給者のアカウントが停止されて,給付が数週間滞ってしまったそうです。Gigazineにニュースが出ています。

ID.meの仕組みはニュースだけではわからないのですが,スマホで自撮りした顔写真をアップして本人登録し,それを使って認証をしているようです。登録したときの写真と認証の時の写真が同じ人物かどうかを顔認証システムが判断する仕組みですね。記事によると,ID.me側の人は「登録時に顔が半分しか写っていない写真を登録したりしたのではないか?」と言っているようです。半分しか写っていない顔から本人を判断しようとするので,本人拒否につながったのではないかと,もっともらしい意見です。

iPhoneのFaceIDで顔を登録する場合,顔をカメラで写して,顔の輪郭が分かるように色々な向きに顔を向けさせるような工夫がされています。ID.meはどのようにして登録時の写真を撮っていたのか興味があるところです。

このニュースで出ているのは失業手当の申請に顔認証を適用しているケースなので,閾値が高く設定されていたのではないかと思います。その場合,登録された写真の精度が悪いと,本人拒否が多発してしまいそうですね。登録時は役所に出向いて,正しく登録されたことを確認してもらうなどの工夫が必要なのかもしれません。ただ,これだと役所の手間が増えるので嫌がられるのかもしれませんが。

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