送電網問題
発展途上国では電力を末端の一般家庭まで送電することも大変なのかもしれません。特に,紛争などを抱えている地域では,電線の配線などもままならないでしょうから。発電所で発電した電気が,送電網の中でどのくらいロスされてしまうのかを調べた研究者がいます。それによると,貧困国では約半分がロスしているそうです。せっかく発電したのに,送っている最中に半分が消えて無くなっちゃうとはもったいない話です。Ginazineに紹介記事が出ています。
送電網の改善は大きな課題になりそうです。
電気のロス
電力は通常,大きな発電所で発電をして国中に送電網で送電することが効率的であるとされています。電線を通して電気を送るのですから,そこで送電のロスが発生します。でも,各家庭で個別に発電する場合には,発電の時のエネルギーロスが大きいから,送電時のロスを考慮しても発電所でまとめて発電したほうが効率的なのです。私はこのように考えていました。
実際に,先進国各国の送電ロスはアメリカで6%,ドイツで5%,シンガポールで2%だそうです。シンガポールは国土が狭いからロスも少ないんでしょうね。ちなみに各電力会社は総配電ロスを公表していて,東京電力管内の送配電ロスは4.2%です。日本も頑張って送電ロスを少なくしていますね。
途上国ではロスが大きい
一方で,途上国では送電ロスが大きいとのことです。インドで19%,ブラジルで16%。国土の広さはアメリカと変わらないとすれば,10%以下に抑えたいところです。さらに,ハイチやイラク,コンゴ共和国では送電ロスが50%を超えてしまっているのだそうです。長距離を送電することによるロスに加えて,ローカルレベルの配電網が非効率であることが原因として挙げられます。貧困や紛争で高価な銅を使っている電線が盗まれてしまうと言う問題もありそうです。
地球温暖化防止のため,限りあるエネルギーを有効に利用するため,貧困国の生活レベル向上のためにこの送電ロスの問題は解決したいですね。
個別発電も見直したら?
送電ロスはエネルギーの有効利用の観点ではもったいない話です。太陽光発電と蓄電池の組み合わせで,それなりに有効な自給自足の電力生活ができるようにならないのかとも考えてしまいます。例えば自宅の屋根に太陽光パネルを敷いて,各家庭に蓄電池を置いておけば,昼間発電した電力を蓄電池に貯めて,夜は蓄電池からの電力を利用するなどできそうです。小さな発電所でも効率的に発電できるような技術を開発すれば,各地域に発電所を作ってその地域の電力を賄うと,大規模停電のリスクも低減されるのではないかと思います。