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タイトル 日本史のなぞ
著者 大澤真幸
出版社  朝日新書
読了日 2016年10月21日

長い日本の歴史の中で,革命は1度しか成功したことがない。著者はこう言う。大化の改新,戦国時代,明治維新,太平洋戦争後については,外圧による変革であるため真の革命とは呼ばないとしている。では,日本で1度だけ成功した革命は何かと言うと,北条泰時が行った承久の乱だとしている。これは,朝廷が幕府に対して反乱を起こし,幕府が勝利した戦いである。

日本の歴史の中で朝廷全体に対して兵を挙げて勝利したのは,この承久の乱だけ。そのほかは,朝廷の後ろ盾があっての内乱である。そう考えて日本史を見ると,内乱があるときは,双方とも自分たちが担ぎ上げている天皇がいるのに気づく。

日本は天皇に対して歯向かうとうまくいかない。織田信長は,天皇を自分の下に置こうとして安土城を築城したが失敗した。秀吉や家康は,朝廷をの後ろ盾をもらって天下人となった。
これに対して北条泰時は,朝廷全体に対して兵を挙げ,これに勝利すると天皇や上皇を流刑にしてしまった。さらに,六波羅探題を設置して,朝廷を監視の下に置いた。よって,承久の乱が革命の戦いだったと言える。本書では,承久の乱の後に御成敗式目という初めての固有法を制定した。さらに,鎌倉幕府を合議制の表情集で運営していくことにした。これらは,今までの政治と全く異なっており,まさに革命だったのであろう。

本書では,日本の革命を論じるための参考として,中国と西洋の革命について解説している。これも面白い。

中国は,天命をもって皇帝になり,その一族(同じ姓の者)が代々皇帝になるが,世が乱れてくると,戦乱が起きて別の一族が中国を統一する。武力によって戦乱を平定しているのだが,皇帝になるためには天命が必要で,世が乱れたから天命が降って皇帝が変わったのだという理屈になる。この理屈は,孟子に書かれている。

日本には,この天命の理屈は入ってこなかった。それは天皇がいたから。太平洋戦争後に日本がひっくり返らなかったのも天皇がいたからかのかもしれないなぁ。

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